円安局面で不動産投資初心者が気をつけたい5つのポイント

2022年11月時点、円安の長期化や景気後退を
懸念する声が日増しに強まっています。

円安や景気後退は不動産市場にも密接に関係するため、
不動産投資を進めて行くにあたり、どのように
備えれば良いのか悩む方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、円安局面で不動産投資初心者が
気をつけたいポイントをまとめます。

今後の経済市況を注視しながら、
投資を進めていきましょう。

 

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〈目次〉

円安の背景

2016年1月のマイナス金利政策から、
2022年時点でも日本では日銀が大規模な
金融緩和を続け、企業の借り入れや
住宅ローン金利の指標となる長期金利を
低く抑えています。

一方、米国は2022年3月からインフレ抑制のために
金融引き締めにかじを切っており、
金利上昇が続いています。

このため日米の金利差が拡大し、
より金利の高いドルで資産運用をしようと
円を売ってドルを買う動きが強まっています。

10月21日には約32年ぶりに1ドル151円台の
円安水準となり、円安の流れが加速しています。
一時は日銀総裁の黒田氏も、円安は日本経済に
プラスに作用するという発言をしており、
今後もしばらくは円安が続くと考えられます。

景気後退(リセッション)を懸念する声が高まった背景

米国では3月の消費者物価指数(CPI)が、
前年同期比8.5%上昇し、約40年ぶりの
高いインフレ率を記録しました。
(※参考:米国労働省「消費者物価指数(CPI)2022年4月」

この歴史的なインフレを抑え込むために、
FRB(連邦準備制度理事会)は、3月から利上げを
スタートし、5月には通常の2倍の0.5%の
利上げを断行しました。

さらに6月、7月とも、各0.5%の利上げが
行われることを株式マーケットは織り込んでいます。

長期金利の上昇に伴い、金利とシーソーの
関係にある株式マーケットは、5月20日に
S&P500種指数がザラバ・ベースで高値から
20%を超える下落となり、いわゆる
弱気相場(ベアマーケット)入りしました。

ベアマーケット入りしたことで、
今後の景気後退(リセッション)のリスクを
予測する声が高まっています。

株価は実体経済に先行する傾向があります。
経済指標でまだ鈍化が確認できなくても、
株式の先見性により未来を織り込んでいきます。

つまり、これだけ株価が下がるということは、
相場が「景気後退の可能性が高い」ということを
鋭敏に感じ取っているということが伺えます。

不動産投資初心者が気をつけたい5つのポイント

不動産投資初心者が円安・景気後退局面で
気を付けたいポイントとして、次の5つがあげられます。

  1. 建築、部材コストの値上がり、
    特に新築アパート投資に注意
  2. 海外投資家視点による、
    物件価格の値上がりに注意
  3. 将来の金利上昇リスク
  4. 銀行の融資引き締めの可能性
  5. 景気後退期における不動産投資のメリット

ひとつずつ解説していきます。

①建築・部材コストの値上がり、特に新築アパート投資に注意

円安になると、海外から輸入する木材や鉄鋼、
原油などの原材料価格が上がります。

これにより、アパート、マンションでは、

  • 給湯器
  • エアコン
  • クロス
  • クッションフロア

などの値上がりが、
原状回復コストの増加につながります。

新築では、上記に加え、
さらに様々なリスクが顕在化します。

例えば、建築コスト、部材コストの上昇は、
物件価格の値上がり(利回りの低下)に直結します。

また、グローバルサプライチェーン(製品の
原料調達から消費活動までに至る
サプライチェーン全体を、国内だけではなく
海外拠点も含めて最適化する仕組み)の乱れも手伝い、
キッチン、ユニットバス、トイレ等の部材が
予定どおり届かないことによる工期の遅れも散見されます。

例えば、建物が出来上がっていても
トイレが届かなければ引き渡しができません。
引き渡しが遅れれば、客付(入居者の募集)にも
影響します。
繁忙期に向けて建築したはずが間に合わず、
絶好の客付タイミングを逃す可能性もあります。

その他、景気後退の局面においては、新築ではなく
すでに完成している超築浅(築半年~2年ぐらい)を
代替ターゲットにすることも戦略の一つと言えるでしょう。

土地から探してアパートを新築する場合等と比較すると、
利回りは下がる傾向にありますが、その分、
上述に対するリスクヘッジができます。
新築の購入を考えている場合は、あわせて、
築浅物件も検討してみるのも良いでしょう。

②海外投資家視点による、物件価格の値上がりに注意

円安ドル高が進むとどうなるでしょうか。

ドル高は相対的にドルの購買力を高めるため、
海外投資家が日本の不動産を購入するには有利となります。

わかりやすく計算できるように、

  • 物件価格:1億円
  • 利回り:10%
  • 為替レートが110円と130円の場合

で考えてみたいと思います。

為替レートが1ドル110円の場合→909,090ドル
為替レートが1ドル130円の場合→769,230ドル

130円の場合110円と比較すると、
金額にして139,860ドル、率にすると
15.3%割安に購入することが可能となります。

仮に海外投資家の投資予算が、
110円換算の909,090ドルとすれば、
130円の円安時には、

909,090ドルx130円=1億1,818万円

まで、物件価格が上がっても
予算内におさまることになります。

利回りは10%から8.46%
(1,000万円の家賃収入/1億1,818万円)に
下落しますが、利回りを許容すれば、
予算内で物件を購入することができます。

つまり、海外投資家の視点にたつと、
日本の不動産の割安感が増していることになります。

海外投資家が日本の不動産市場に参入することで、
物件価格が適正以上に値上がりする可能性があるということです。

物件価格や利回りが本当に適正か、
冷静な視点で、判断が必要となります。

③将来の金利上昇のリスク

物件を現在所有している人の関心ごとの一つは、
今後の金利上昇の動向です。

米国をはじめ各国の利上げに反して、
日本では日銀が粘り強く金融緩和を続けています。

そのため、長年に渡って、
金利は上がらないだろうという暗黙の了解の
ようなものがありますが、はたして
この金融緩和はいつまで続くのでしょうか。

ウクライナ紛争によるエネルギー価格の上昇、
円安による輸入物価の上昇により、
引き下げが実施された通信費の影響を差し引くと、
日本においても実質的に2%程度の物価上昇が起きています。

黒田総裁も2023年4月で任期満了を迎えます。
金融政策の正常化に向け、利上げへと政策スタンスを
転換しても不思議ではない時期と考えることもできます。
あくまでも可能性として、考えておくことは大切です。

金融緩和に区切りをつけ、正常化への道を歩み始めると、
これまでの低金利環境は終わりを迎えることとなります。

金利上昇はイールドギャップ(投資利回りと金利の差)
を生み出しづらくなるため、基本的に不動産投資には
逆風となります。

それはつまり、ローン返済額の上昇に繋がり、
不動産投資家の手残りの減少を意味します。

金融引き締めが実行されるか否かは断言することが
出来ないため、金利上昇に備え、どのぐらいの
金利上昇までなら事業として耐えられるか、
検証しておくことが大切です。

例えば、現在の金利が2%で借り入れしているなら、
損益分岐点となる金利は何%かを把握しておくということです。

仮に損益分岐金利が4%とするなら、万が一、
3%に金利が上昇した場合でも落ち着いて
対応できることになります。

不測の事態に備えておきましょう。

④銀行の融資引き締めの可能性

景気後退が意識されると、
銀行の融資も閉じ始めます。

融資が開いている時は、多くの人が購入できるため、
物件価格は上がりますが、融資が閉じ始めると
物件価格は下落します。

資金調達の難易度が上がることで
買える人が少なくなり、需要と供給の
バランスが崩れるためです。

そのため、融資を使って購入を検討している人は、
金融機関の融資が開いている時に購入しておき、
不動産賃貸業の経験を積んでおくのも一つの選択肢と言えます。

なお、不況時は物件が安くなり利回りが上がるため、
一つの仕入れタイミングとも言えます。
現金を多く保有している方やより多くの頭金を
投入できる方にとって、不動産の買い場ととらえる方もいます。

不況期に安く購入した物件は、数年後の
キャピタルゲイン(売却益)を狙える可能性があります。

例えば、リーマンショックの際に買った投資家が、
高値で売却して大きなキャピタルゲインを
獲得している事例があります。

景気後退を見据え、買い場にそなえて経験を積み、
できるだけ多くの現金を蓄えておくことも
検討してみると良いでしょう。

ただし、上記は過去の傾向であり、景気後退の
局面で購入した不動産の値上がりが必ずしも
起きるという保証はなく、物件のエリアによっても
差があります。

不動産投資を検討する際は、余裕資金で行えるか、
生活に必要なローン利用のための与信を残せるか、
慎重に判断することも大切です。

⑤景気後退期における不動産投資のメリット

景気が後退する時期は、
給料が減ってしまう人が増え、場合によっては
職を失い無収入になる人も出てきます。

このような景気後退期において不動産投資は
リスクヘッジとしても有効です。

例えば、収入が減少したり、
無収入になったりした時のために、家賃収入が
あることで一時的に凌げる可能性があります。

また、景気が悪化すれば、株価や給料の
下落などはおこりますが、家賃水準は
不動産価格の減少幅と比較して
大きく変わらない傾向があります。
(参考:国土交通省「賃貸住宅市場の実態について」

過去の景気後退期の傾向を見ると、
家賃には価格の硬直性が見られます。

どのような不況下でも人には住むところが必要であり、
エリアを厳選すれば賃貸住宅の需要が
全くなくなってしまうということは基本的にありません。

逆説的に、今後の景気後退を見越すのであれば、
あえて今のうちに不動産を購入、家賃収入を
確保して、景気後退に備えるという考え方もできます。

ただし、これからはじめるという方は焦らず
十分に勉強を重ねた上で、不動産投資を
スタートすることをおすすめします。

まとめ:円安局面で不動産投資初心者が気を付けたい5つのポイント

【円安局面で気をつけたい5つのポイント】

  1. 建築、部材コストの値上がり、特に新築アパート投資に注意
  2. 海外投資家視点による、物件価格の値上がりに注意
  3. 将来の金利上昇リスク
  4. 銀行の融資引き締めの可能性
  5. 景気後退期における不動産投資のメリット

いかがでしたでしょうか。

少し難しい内容も含まれていたかもしれませんが、
円安・景気後退局面で不動産投資初心者が
気をつけたい5つのポイントについて解説してきました。

物件の値上がり、金利上昇などに
気をつけなければいけませんが、
マイナス点ばかりを見ていてはいつまでも
何も始めることができなくなります。

アメリカの景気が低迷し不況にいたる過程の
状態入りすれば、日本も景気後退に入る
可能性が高まります。

将来の資産形成に備えるのであれば、
不況時における不動産投資のメリットもあります。

また、不動産投資はリスクのある投資方法であり、
どの投資タイミングであってもリスクを
完全に排除することは出来ません。

不動産投資に失敗してしまう事例には、
勉強不足によりリスクを把握せずに、
悪質な不動産会社の言われるがまま、
不動産を購入してしまうケースも見られます。

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まずは上述のリスクや注意点を踏まえ、
情報収集をしながら、不動産投資を検討してみてください。

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最後までご覧いただきありがとうございました。

 

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